ライフプランセミナーの児玉総合労務研究所
所長の一言

所長のひとこと|2012年12月1日

子を養いて教えざるは父の過ちなり。教えて導くこと厳ならざるは師の怠りなり。父教え、師厳しくして、学問のなることなきは子の罪なり。

(司馬 光)

父親には子を養うとともに教訓する義務があり、教師には教えるだけでなく学問する態度を厳しくしつける任務がある。
そうしてもらっても学問が身につかなければ本人の責任だというのである。


 ある年金基金のセミナーに講師として呼ばれて、参加しましたが、とても驚いたことを述べたいと思います。 
 このセミナーの司会は、関東の有名大学を卒業したあと、これも国内ではトップクラスのM銀行に入社し業界の勉強をするために2年間出向されている方でした。
 セミナーのスタートに当たり、責任者から開講のご挨拶がされたのですが、司会の方が壇上のセンターマイクで司会をし、責任者がサイドのマイクを使って挨拶をする という信じられない光景となりました。
 責任者のご挨拶が終わった時点で、本人が戻ってきたので「司会は司会用のマイクを使う」のが世間の常識であることをアドバイスしますと、なんと「司会用の原稿があるので、センターテーブルに置いて読まないと読みにくい」との返事が返ってきました。
 私は、「学校や、式典挙行の場合に司会者がメインマイクを使っているか ? 普通は、サイドマイクを使っているだろう・読みにくかったら、2つに原稿を折って見ながらすればよい」とアドバイスしましたが、本人は何かすっきりしていないような感じでした。

 本人にとっては初めての司会経験だったようであり、周りの目や想いには気を配らず、自分のやり易いようにしていたようです。
 上司は、こんなことは社会人の常識として教えなかったものと思われますが、それなら司会者が席に戻った時点で間違いを直ぐに指導しなければなりません、そうしないと次の講師の紹介にもセンターマイクを使っていたことでしょう。
 黙認していては、それで良いと司会者は思い込んでいたはずであり、結局は本人に恥の上塗りをさせることになります。
 寛大な見方として、この司会者が勉強一途に進んできた若者なので、世間の決まりごとを知らなかった と解釈しても、上司が直ぐに正すべきことをしなかったのは問題です。
 部外者の私から、アドバイスを受けるようでは、師の怠り となるでしょうし、又 私のアドバイスをその場では戸惑ったとしても、いつまでも素直に受け入れることができないようであれば、子の罪 となります。
 人に物を教えるタイミングを痛感しました。

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