ライフプランセミナーの児玉総合労務研究所
所長の一言

所長のひとこと|2012年11月17日

人の一生は重荷を負うて、遠き道を行くがごとし急ぐべからず

(徳川家康)

徳川家康の遺訓として有名な一文の最初の一行です。 つづく言葉は
= 不自由を常と思えば不足なし 心に望みおこらば、困窮したる時を思い出すべし
堪忍は、無事のいしずえ 怒りは、敵と思え
勝つことばかりを知って、負くることを知らざれば、害、其の身に到る
己を責めて、人を責めるな 及ばざるは、過ぎたるに優れり


 人はみな重荷を背負っています。
 自分の背負っているものを自覚し、辛さを感じつつ歩んでいるまじめな人、 また、まじめでない人も同様に重荷を背負っています。
 私たちは自分の荷を自覚しつつ、それと向き合い、道を行く必要があり、歩むにつれて背負い方にも慣れますし、またがんばる人には協力者も現れ、励まされることもあります。

 しかし、この遺訓も天下を治めたものであればこその言葉で、現代にはそぐわないと思います。

 昭和50年に、神奈川県藤沢市にある工場の人事課庶務係担当係長として転勤となりましたが、転勤後1週間で部下になる予定の方が自殺されました。
 その方は、サービス対策で大阪へ何日間か出張で来られていたので、以前から顔は見知っていました。
 私の転勤時には、1か月ほど欠勤が続いているとの事で、一度も話をしない中で亡くなられたのでびっくりするとともに、どのあたりに原因があるのか と考えたりしたものです。 上司はどうだったのか、同僚はどうだったのか、ご家庭ではどうだったのか 等などです。
 その後考えると、 うつ病 だったと思いますが、病名などは人事でありながら掴んでいなかったのか、或いは掴んでいても、話してくれなかったのか良く分かりません、包み隠してしまう雰囲気があったようです。
 10年後に大阪本社に戻りましたが、数年後に同年輩の設備管理課主任が変電所でやはり自殺しました。 今の時代でしたら、メンタルヘルスへの取り組みが義務付けられており、理由如何によっては企業にも責任が追及されていたものと思われます。
 私が、メンタルヘルスの方面に関心を持ったのは、この事件の後からですが、仕事は一つ山を越しても次の山が目の前に立ちふさがります。
 このおふた方は、理由が違うと思いますが一人で背負い込むことで、追い込まれてしまったものでしょうか、
 うつ病になりやすい性格というものはありますが、誤解してはいけないのは、たとえそうした人でも、明確なストレス要因がなければ、うつ病にはならない、ということです。 と言うのはうつ病というのは、あくまでも過剰なストレスが加わり、それに対して、心が過剰に反応した結果、身体的、精神的に不調をきたす病気です。
 逆に言うと過度なストレスが加わらなければ、どんな性格の人でもうつ病にはなりませんので、己を責めすぎて、何もかも自分がしょいこんでその挙句に、自分自身を傷つけないようにしてもらいたいものです。

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