学びて思わざれば

学びて思わざれば、すなわち罔(くら)し。思いて学ばざれば、すなわち殆(あや)うし
(孔子)

知識を吸収するばかりで自分の考えを持たなければ、何も理解したことにならない。逆に思考ばかりで他から知識を得たり、教えを乞うたりする事がなければ、独善に陥って、論拠が危うい。

大量生産の電気機器製造業の人事部門で、採用業務に就いていたときのことですが、折角採用した新入社員が配属後3ヶ月くらい経つと辞めたい と退職届を持ってきます。 プレスや板金加工の男子職場が特に多く補充しても続かないので、原因は何にあるかをじっくりと聞きました。
そうすると多くのものが退職理由に挙げているのが、単純作業を朝から終業時間まで繰り返し行なっており、学ぶことがないし つまらない!!というものでした。
班長から教えられたとおりのことを、朝から晩までしているのですから確かに1ヶ月もすれば慣れてしまいますから、単純でつまらなくなるのは無理がないと思いました。
そこで、「つまらなく辞めたい」と退職届を持ってきた者に、次のような問いかけをしてみました。

① 今使っているプレスはどこの会社の何トンのものであるか。
② 絞りの面に使っている油はどこの会社のもので、粘度はどれくらいか。
③ 曲げている鉄板は何ミリのもので、どこの会社のものか。
④ 新日鉄製の鉄板と、住友金属製の鉄板の加工上の留意点は何か など

「班長の教えどおりに、両手スイッチをただ単に押しているだけでは誰でもつまらないし、嫌になってくる」「この仕事は何のためにしているか、どのようにすれば失敗がなくせるか、この仕事を人間がするのではないようにするにはどうすればよいか」などをじっくりと説明しました。
 単純に見えるようでも見方を変えることで、大変難しい重要な仕事についている という意識と自覚を持ったらしく、退職届けは撤回となりました。
 その後にプレス、板金、溶接などの源流工程部門の班長を集めて、次のようなことを伝えたのは言うまでもありません。
「部下の成長の度合いを見て、その程度に合わせて部下自身が自分で考えるような指導が大事である」「班長自身も他の部門の部下指導のポイントについて教えを乞うこと」

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