船頭多くして

船頭多くして 船 山に登る

一艘の船に、棹差す先導が何人もいると船の進路が定まらず、しまいには山に乗り上げてしまう。 指図するものが多いと方針がまとまらず結局仕事や計画がとんでもない方向に進んでしまうことのたとえ。

かれこれ20年前に人事部門の責任者として、会社の重役5名と労働組合との交渉業務に就いていたときのことです。

厳しい経営が背景にある中で、延々と深夜の日付が変わり数時間のところまで交渉が続きました。何回も中断し、お互いの歩みよりもこれまでとようやく賞与交渉の結論が出ました。
 労働組合本部としては妥結の方向で纏める となり一旦持ち帰り合意を得てくるから待ってもらいたい との要請で待機していました。
1時間も経過した頃に、委員長から困ったということが分かる口調で電話が入ってきました。
 ある支部の委員長が強行に上積みを主張していて、直接自分で交渉に行くといって聞かない とのことでした。だから 会ってやって欲しい と匙をこちら側に投げてきており、何のための本部役員との交渉だったのか とその矜持のなさに唖然としたものです。

 日頃は威勢の良いことをいいながら、会社の決断を迫っているのに支部委員長が反対するからといって纏められないようでどうするのか と憤りを感じたものです。

 突っぱねたらよかったのですが、困っているのであれば今後の労使関係を円滑にするために、会うだけあってやれ との会社の重役の意見を取り入れて面談しました。 結局それが本人の手柄となり、次の労働組合の選挙の際には副委員長として押され、何でもおねだりすれば良いのだ との風潮が労働組合に漂うことになりました。
その後、労働組合組織の自立性が大きく損なわれ、何事を決めるのにもいたずらに時間が掛かることとなったのは自明の理です。
 このような、笑うに笑えない愚かな選択を避けるには、まず誰がリーダーなのかのしっかりと確認させる必要があります。
 広い視野のもとに、ことを円滑に決め、進めて行くことが大事で、
 「船頭多くして 船 山に登る」の愚行は絶対に避けなければなりません。

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