因循姑息:表向きは反対しないが、実質的に前に進ませない勢力

因循」は中国古典に由来し、古い習慣や旧例に従って改めようとしないことを意味します。
 『史記』では老荘思想を説明する文脈で「因循を以て用と為す」とあり、自然の成り行きに任せる=旧例に従うというニュアンスが示されています。
「姑息」の由来は「姑(しばらく)」「息(やむ・休む)」から成り、一時しのぎ・その場逃れを意味します。
 『礼記』には「細人の人を愛するや姑息を以てす」とあり、場当たり的で根本的でない対応を指す語として古くから使われていました。

 お正月を迎えると、必ず思い出すことがあります。

 1990年代初頭に、当時の社長が製造と販売部門の乖離を懸念して、製販一体化を打ち出し、該当する事業所を強力にリードしました。(それまでは製造会社の中に、親会社の販売部門が別会社として存在していて、経営問題があるとそれぞれが責任をなすりつけ合うといった弊害がありました)
 不思議なことには、このようなことは本来なら経営企画室が担当するところですが、なぜか人事部にその役割を指名され、人事担当常務からそれを私に「進めよ」との指示が下りて来ました。

 社長命令ですから、販売会社のトップが、自部門の人事責任者に指示して取り組ませるのが、当然と思われますが、内心は反対しているのか3か月たっても一向に動いてくれません。
 人事の責任者と連絡を取り合っても、言葉の上では「進めている」というものの、具体的な課題の抽出や 一つ一つの対策が上がってこない…業を煮やして販売会社のトップの専務と常務に直談判しに行っても、「担当に任せているから」と、まともに向き合おうとしてくれません。

 社長は、4月の新年度のスタートに合わせたいとの強い意思表示をされていたのに、年末が近づいてもこんな状況では「責任を果たせないなぁ…」と、柄にもなく悩んだものです。

 お正月に、会社へ出て考えた末に社長宅に電話を入れましたところ、奥様が出てこられて受話器を社長に渡してくれました。「児玉君から電話がかかっているぞ、何か有ったのかなぁ。」との心配そうな声が聞こえました、知らなかったのですが、重役達がお正月なので、社長宅を訪問して新年会をしている最中でした。「こりゃまずい」と思って、「日を改めてもう一度連絡させてもらいます」と言いましたが、「遠慮せずに言いなさい」と言ってくださったので、このままでは新年度に実現できない…と、悩んでいる実態を説明しました。

「わかった ! 皆来ているからそこで話す」と一言だけ仰って、あっさりと電話を切られました。
どのように話しが進められたのかはわかりませんが、両部門は見違えるように積極的な姿勢に変化して何とか社内のとりまとめは行えました。

その後は、親会社への説明となりますが、初めての事例なので組織体制や会計制度、人事制度の在り方などの調整のために、兎に角走り回りました。最終は親会社の総務・経理・人事・営業・法務などの各本部責任者会議で説明させてもらって、4月の新年度からスタートすることができました。
 
 ここで述べたいことは、
 ・物事を進める中では内なる敵(うちなるてき)としての、足を引っ張る勢力がいること
 ・ミッション遂行のためには、リスク覚悟でステップを飛び越えることも、時には必要ということ

です。

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